補助金の現実

 

政治献金問題で、補助金がクローズアップされています。

新聞や Net での議論を見ていると補助金について、記者さんにも知識不足があるように感じます。

 

補助金 = 返済不要のお金が国からもらえる」 

 

と思っておられる方が多いようです。まあ間違いではありませんが、タダでお金はもらえません。

私の勤める会社で補助金受給の担当をした経験から、苦労談をお話しします。

 

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補助金には多様な項目があり、一つ一つ内容が違います。その一つを例に取り上げてご説明します。

 

「下請中小企業・小規模事業者自立化支援対策費補助金」 

事業構造の変化で売り上げが減り、その対策として新分野への進出を計画している企業への補助金です。

 

申請できる企業は売り上げが前年比10%以上減っていることが条件です。

補助金の申請は春頃に締切。審査のうえ採択が決定するのが夏ごろ。事業はその年度(翌年の3月)に終了し、3月末までに報告書を出さなくてはなりません。

 

担当する役所の持っている予算に限りがあり、申請者が全て採択されるわけではありません。申請者が多ければ競争率が高くなります。おおむね2~3倍でしょうか。

 

申請書には 

新分野の事業計画(なにをやるか、売り上げ見込み、使用する資産、従業員数など)

補助対象の経費(その事業に使う工場、機械等の購入費、販路開拓費、人件費など)

を書かなくてはいけません。

 

そして補助率(申請した経費のうち、もらえる金額)は2/3以内。ほとんどが半分です。

 

もらう企業の立場からいうと、以下のような難しさがあります。

・使う経費の半分しかもらえない、ということは半分は自己負担

・情勢の変化で計画を変更することは許されない

・翌年3月末には結果の報告書を出さなくてはならない

  採択が決まるのが夏頃、翌年3月末に報告書提出、ということは事業期間は

  実質半年くらいしかない。

・その報告書は 「失敗でした」 は許されない。結果を出さなくてはならない

 

これらをちゃんとしないと 「補助金不正受給」 で叱られます。受け取ったお金は返還しなければなりませんし、二度と補助金申請はできません。

 

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当社は環境関連の補助金をいただいたことがありますが、上記の難しさから今は止めています。

政治献金はしませんでしたよ(笑)

 

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