先月末の科学誌・サイエンスに興味深い記事が出ました。
「自動運転車の社会的ジレンマ」と題する研究論文での質問です。
「道路を走る自動運転車の前に突然、数人の歩行者が現れた。ここでの選択肢は2つ。歩行者の間に突っ込むか、それとも進路を変えて木に激突し、車に乗っている人を死なせるか。」
多人数の歩行者の命と、少人数のオーナーの命とどちらを尊重するか、というジレンマを設定したものでしょう。
いかにも自動運転車に不信を持っているような主旨の質問です。
私が判断すると答えは以下のとおり。
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前方に歩行者が出てきたら、急ブレーキをかける。
停まりきれないと判断したら、ハンドルを切って回避する。
ハンドルを切る方向に木があり衝突が避けられないとしても、衝突安全性能が上がっている現代の車では、乗員が死ぬ確率は低い。
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似たような話を思い出しました。
昔、お抱え運転手(後席に VIP を乗せて運転する人)の間でこんなことが議論されていました。
「走行中に歩行者が飛び出してきた。急ブレーキを踏めば VIP がケガをする。止まらなければ歩行者をはねる。どうしたら良いか。」
当時の答えは 「歩行者をはねる」 でした。
人命が今ほど重視されていない頃、そして自動車の安全性能も低かった時代のことです。
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